GX(ジーエックス)はグリーントランスフォーメーションの略称になります。このGXとは石炭や石油などの化石燃料中心の社会から、太陽光、風力などの再生可能エネルギー中心のサステナブルな社会へと転換し、クリーンエネルギーで経済成長を目指そうとする概念のことを指します。このGXを進めるために2023年5月にGX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案)という新たな法律が成立されました。「脱炭素」というキーワードから連想されるカーボンニュートラルとは何が違うのでしょうか?今回は日本の未来に関わるGXについて分かりやすく解説していきます。
GXとカーボンニュートラルの違い
「脱炭素社会」と聞くと真っ先に「カーボンニュートラル」を頭に思い浮かべてしまいますが、カーボンニュートラルはGXを実現させるための手段の1つで2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしようとする具体的な目標になります。
カーボンニュートラルの実質ゼロというのは二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から吸収量を引いた値をゼロにするという意味で、排出量自体をゼロにするという意味ではありません。
※ 環境省HP脱炭素ポータルより出典
このカーボンニュートラルなどの目標を通して化石燃料に依存している今の社会構造に変革をもたらし、クリーンエネルギーを安定供給できる社会へ発展させるだけでなく経済成長にも繋げていこうとする概念や取り組みのことをGXと呼んでいます。
GXを進める「GX推進法」とは?
2020年10月に菅元総理が「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と宣言されましたが、実現までのハードルは高く達成するには大規模な投資によるサプライチェーンなどの改革が必要になります。その改革を実行しながら産業競争力を強化させ、経済成長を促すには今後10年間で150兆円を超える投資が必要とされています。これには国だけでなく民間の積極的な協力が必要不可欠となりますので2023年5月に「GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案)」が成立したのです。
GX推進法の概要
① GX推進戦略の策定・実行
政府がGXを計画的に進めるための戦略を策定し適切に実行する。
② GX経済移行債の発行
脱炭素事業に限定した国債を発行し民間から資金を集める。
③ 成長志向型カーボンプライシングの導入
企業が排出するCO2に価格をつけ負担金を徴収することと投資支援を抱き合わせることで企業がGXに取り組みやすい環境を整備する。
④ GX推進機構の設立
企業への投資支援、負担金の徴収などGXに関する実務を担う機関の設立。
⑤ 進捗評価と必要な見直し
政府と推進機関が連携し、状況にあわせて法案の見直しを図り必要な措置を講じる。
企業がGXに取り組むメリット
企業がGXに取り組むことで地球環境へ貢献できることもメリットと言えますが、その他具体的に享受できるメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか?
① エネルギーコストの削減
太陽光発電など自家消費型の再生可能エネルギーに転換することにより長期的にみると電気料金の削減につながり、余剰電力を販売できれば収益を上げることも可能になります。
② 企業イメージの向上
企業がGXに取り組むことで取引先や消費者に「地球環境に貢献する企業」という良い印象を与えます。企業のイメージが向上すると、良い人材の確保にもつながるので高いブランディング効果を期待できます。
③ 補助金、助成金
政府や地方自治体は二酸化炭素排出量の削減に努める企業を支援するために「GXサプライチェーン構築支援事業」「ものづくり補助金(グリーン枠)」など他にも様々な支援を充実させています。企業がGXを推進させる上で障壁となる初期投資を減らすことができます。
④ ESG投資
ESG「Environment(環境)Social(社会)Governance(法令遵守)」投資とはその頭文字の示すとおり「環境、社会、法令順守を重視した企業へ投資をしましょう」というもので世界各国2,000以上の莫大な金額を扱う機関投資家が賛同しています。GXに取り組む企業はESG投資の対象として資金調達に有利になります。
まとめ
今回は民間企業の視点からGXに取り組むメリットなどを挙げましたが、企業単位ではなく個人でもGXに取り組んでいくことは可能です。エアコンの温度調整や使っていない照明を消すなどの節電、急発進をしないエコドライブ、買い物ではマイバックの持参や食品ロスを意識するなど今日からすぐにできることはたくさんあります。
深刻化する地球温暖化を止めるには巨額の投資による産業構造の改革も欠かすことはできませんが、何よりも一人ひとりの意識を改革しなければ達成は遠い未来かもしれません。
▼SAP(サップ)へのお問い合わせはこちら
電話でのお問い合わせ:04-7193-8283
WEBからのお問い合わせ:https://sap-solar.jp/contact/index.html