「二酸化炭素を閉じ込める?」これから注目されるCCSとは?

近年、異常気象や海面上昇など地球温暖化の影響が世界中で深刻になっています。この地球温暖化の大きな原因のひとつが、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスです。私たち人間がエネルギーを使うとき、多くの二酸化炭素が空気中に放出されます。
この二酸化炭素問題を解決するためにさまざまな対策が考えられています。その対策の中でこれから注目されるのが「CCS(Carbon Capture and Storage)」という技術です。この記事では、CCSとは何か、そのメリット、デメリットについてもわかりやすく紹介します。

 

CCSとは何か?

CCSは、「Carbon Capture and Storage」の略で、日本語では「二酸化炭素回収・貯留」といいます。これは、発電所や工場などから出る二酸化炭素を大気に出さずに回収し、地中に閉じ込めてしまうという技術です。
たとえば、石炭や天然ガスを燃やして電気を作ると、大量の二酸化炭素が出ます。普通ならこの二酸化炭素は空気中に放出されてしまいますが、CCSは空気に出す前にキャッチ(回収)して、地下深くに埋めてしまうことができるのです。

 

CCSの3つのステップ

CCSは、大きく3つのステップに分かれています。

まず、発電所や工場などから出る二酸化炭素を、ほかのガスと分けて取り出す(分離)作業を行います。これには特別な化学薬品を使ったり、フィルターで取り除いたりする方法があります。

回収した二酸化炭素は、次にパイプラインや船を使って貯留場所まで運びます。日本ではまだ進んでいませんが、海外ではすでにこの仕組みが利用されています。

最後に二酸化炭素を地中の深い場所、たとえば古い油田やガス田、地下の岩の層(多孔質岩)などに注入します。ここでは二酸化炭素が長い時間(数百年〜数千年)にわたって閉じ込められることが期待されています。

「本当にそんなに長い間、地中に閉じ込められるの?」と思うかもしれませんが、自然の中には、何百万年も二酸化炭素を閉じ込めてきた場所がたくさんあります。
たとえば、石油や天然ガスは地下の岩のすき間に閉じ込められています。これと同じように二酸化炭素も適した場所に注入すれば、自然の圧力や岩のフタ(キャップロック)によって外に漏れにくくなるのです。

 

CCSのメリットとデメリット

二酸化炭素を大気に出さないので、地球温暖化の防止につながります。

石炭や天然ガスを使いながらも二酸化炭素を削減できるため、今あるインフラを無駄にせず活用できます。

CCS関連の技術開発やインフラ整備で、新しい仕事やビジネスチャンスが生まれます。

設備の建設や運転にお金がかかります。

二酸化炭素が地中から漏れ出すリスクもあり、長期的な監視が必要です。

二酸化炭素を貯められる地層が限られており、すべての地域で使えるわけではありません。

 

日本と世界のCCSの取り組み

日本では?
日本でも環境省や経済産業省などが中心となって、CCSの実験や実用化を進めています。北海道の苫小牧(とまこまい)では、2016年から二酸化炭素を地中に注入する実証実験が行われており、成功しています。これにより、日本でも安全にCCSができることが確認されつつあります。

世界では?
ノルウェーやカナダ、アメリカなどでは、すでに大規模なCCSプロジェクトがいくつも行われています。ノルウェーの「スレイプネル油田」では、1996年から二酸化炭素を地中に注入し続けており、世界でも最も有名なCCSの例のひとつです。

 

まとめ

CCSは地球温暖化を食い止めるための有望な技術ですが、これだけで地球温暖化が解決できるわけではありません。再生可能エネルギー(太陽光、風力など)を増やすことや、省エネの努力も同時に必要です。CCSは、そうした取り組みを補助する役割として、とても重要なのです。また、CCSに似た技術に「CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)」があります。これは回収した二酸化炭素を貯めるだけでなく活用するというアイデアで、二酸化炭素を使って植物を育てたり、化学製品に使ったりする技術も研究されています。
このような先端技術は、科学者や技術者が活躍する分野ですが、私たち一人ひとりがエネルギーの使い方を見直し、環境問題、エネルギー分野に関心を持つことで地球環境を守ることもできるのです。

 

 

 

 

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