【中級編】太陽光発電普及の切り札「PPA」って何?

電気料金の高騰が連日TVでも放送され、自家消費型太陽光発電の人気が高まっています。今回はPPAの【中級編】ということで、使用電力を100%自社で賄うことを目標にしたRE100に取り組む企業の注目を集めているオフサイトPPAについてまとめてみました。少し前のブログではPPAの【初級編】も掲載しております。まだ読んでいない方、オンサイトPPAについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

オフサイトPPAとは?

【初級編】ではオンサイトPPAについてお伝えしておりましたが、まずPPAについて軽くおさらいしておきましょう。まずPPAとは『Power Purchase Agreement』の略称で、工場の屋根や空き地などのオーナーさんにPPA事業者が「太陽光発電設備を無料で設置するので、そこで発電した電気を買ってもらえませんか?」という内容の電力売買契約になります。

次にオンサイトオフサイトの違いについてです。
オンサイトは同じ敷地内に発電する施設と消費する建物があるのに対してオフサイトはそれぞれが離れた場所にあるので消費する建物まで電気を送る必要があります。

オンサイトPPAではPPA事業者電力消費者の2者が登場しますが、オフサイトではその2者の間に電気を送る役割を担う小売電気事業者が入るので登場人物が3者になります。

電力消費者 = 太陽光発電所の持ち主であり、発電した電気を使用する者
PPA事業者 = 太陽光発電所を設置し、管理する者
小売電気事業者 = 送電線などを所有し、電気を販売する者(経済産業大臣の登録が必要)

 

 

オンサイトPPAは太陽光パネルを設置できる面積が電力を消費する建物の敷地内に限られるので、たくさん発電することはできません。その点、オフサイトPPAは小売電気事業者の送電線を利用して電気を送るので、太陽光パネルを設置する場所は消費する建物から遠く離れた場所でも問題ありません。土地の値段が安くて済む地方の広大な敷地を使って太陽光パネルをたくさん設置することができるので、自社で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うこともオフサイトPPAなら可能になるということです。RE100に取り組む企業が注目するわけもわかりますね!

 

 

オフサイトPPAは高い?!

前述したとおりオフサイトPPAは発電する施設と消費する建物が離れているので小売電気事業者の所有する送電線を使わせてもらって電気を届ける必要があります。この送電線の利用料を託送料金といいますが、これ以外にもオフサイトPPAの電気料金が高くなってしまう理由が3つあります。

① 託送料金
オフサイトPPAでは発電する施設と消費する建物が離れているので小売電気事業者の送電網を使わせてもらうため、その利用料『託送料金』が電気代に加算されます。

② 再エネ賦課金
太陽光発電などの再生可能エネルギーを自家消費型として使用する分には再エネ賦課金(再エネ賦課金についてはこちらの記事の後半をご覧ください。)はかからないのですが、オフサイトPPAの場合は小売電気事業者が間に入ってしまうため、再エネ賦課金がかかってしまいます。
再エネ特措法で「小売電気事業者から電気使用者に供給された電気」に対しては、再エネ賦課金を徴収するように定められているからです。

③ バランシングコスト
電気には「使う量」と「作る量」が同じくらいになるように保たなくてはならない「同時同量の原則」(同時同量の原則についてはこちらの記事の「出力制御の背景」をご覧ください)というものがあります。PPA事業者にはこの原則を守ってもらうために「どれだけ発電して、どれだけ使用するのか?」をまとめた計画書を小売電気事業者に提出しなければならない義務があります。しかも!この計画書通りにいかない場合はペナルティとしてインバランス料金という罰金のようなものを支払わなくてはなりません。この罰金や計画書作成の手間暇などにかかる費用をバランシングコストと総称して電気代に加算されるのです。

 

 

この3点が上乗せされているのでオフサイトPPAの電気料金は高くなってしまうのですね!

 

なぜオフサイトPPAが注目されるのか?

ではなぜ一般の電気料金より割高に設定されたオフサイトPPAの需要が高まるのでしょうか?オンサイトPPAでも賄いきれない電力は普通に電気会社さんと契約していた方がお値段的にはお得なのに、なぜそんなもったいないことをするのでしょうか?
これには2つ大きな理由があります。

① 電気代高騰に対する備え
読者の皆さまも身をもってご実感されているかと思いますが、不安定な世界情勢によって石炭などの化石燃料が高騰し電気代が大幅にアップしました。(電気代高騰の理由はこちらの記事をご覧ください。)
そのため、割高に設定されていたはずのオフサイトPPAの電気料金と変わらないレベルまで高くなり、家庭用の電気料金と比較した場合にはオフサイトPPAの料金単価の方が安くなってしまう現象まで起きたのです。
今年の春からは更に電気代が値上がりされると言われているので、『オフサイトPPAの導入は電気料金の値上がり対策になる‼』と、これまでは金銭的にはあまりお得になるわけではなかったので、なかなか決定に踏み切れなかった企業も、いま一度見直す機会となっているのです。

② ESGスコア
上場企業は事業を継続、拡大させるために投資家などから資金を調達する必要がありますが、投資家が投資をするための判断基準の1つにESGスコアというものがあります。ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字になりますが、企業がどれだけ環境や地域社会へ貢献しているか?多種多様な人権問題などに対応できているか?法令を遵守し健全な企業統治がなされているか?それを数値化したものになります。このESGスコアの高い企業ほど社会的な責任を果たしているとみなされ、世界中の投資家から資金が集まりやすくなるというメリットがあるのです。
そのためにはRE100という名の通り自社で消費する電力を100%再生可能エネルギーに変換することが重要になり、消費する建物の敷地内だけで発電を賄うオンサイトPPAでは間に合わないのでオフサイトPPAが注目されているのです。

まとめ

企業がオフサイトPPAをはじめようと契約し、新たな太陽光発電所が増えることは再生可能エネルギーの拡大にも繋がり、より多くのCO2削減も可能となります。その反面CO2削減の効果という観点から、単純に再生可能エネルギーを導入すれば良いというわけではなくなってきています。RE100では2024年1月から「運転開始から15年以内」の再エネ電力設備でないと認めないとするなど、太陽光発電設備の調達基準が厳格化されます。簡単に言うと「CO2の削減につながりやすい高性能な設備を取り入れよう!」というわけです。ですが、いくら新しい太陽光パネルを導入したとしても汚れてしまえば意味がありません。

現在日本に設置されている太陽光発電は約7,000万kWで、その7,000万kWが発電できる年間の発電量はおよそ700億kWhになります。パネル洗浄によって回復する発電量の平均値は約5%(※SAP実績値)なので700億kWhの5%にあたる35億kWhが汚れによって損失していると考えられます。この35億kWhを石炭火力発電所が排出するCO2に換算すると年間約310万tの排出量に相当します。杉の木1本が1年間に吸収するCO2はおよそ14kgと言われているので310万tのCO2を吸収するには約2.2億本の杉の木が必要になるのです。

太陽光パネルは性能の高い低いに関わらず長年放置してしまうと汚れが固着してしまいます。そうすると発電量は低下し、CO2の削減にも貢献できなくなってしまいます。しかも長年放置された汚れは通常のパネル洗浄では取れなくなってしまいます。そうなる前に一度SAPへご相談ください!SAPではお客様の太陽光発電所にあわせて最適なパネル洗浄のタイミングを無料でアドバイスさせていただきます。

SAPはパネル洗浄を通して太陽光発電のエネルギーを最大化させ、脱炭素社会実現に向けて取り組んでいます。

 

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