太陽光発電を導入する際、重要な検討材料として「どれだけ効率的に発電できるか」が挙げられます。この記事では、太陽光パネル(ソーラーパネル)の発電量の指標となる変換効率、他の再生可能エネルギーとの比較、太陽光発電の発電効率を向上させるための情報をまとめました。今から太陽光発電を導入する人だけではなく、すでに太陽光発電設備を所有している人にも必見の内容となっておりますので、効率的な発電について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
太陽光パネルの変換効率とは?
太陽光パネルの「変換効率」とは、太陽から届く光エネルギーをどれだけ電気として変換できるかを示したものになります。太陽光から受け取ったエネルギーを全て電気に変換できる状態が変換効率100%ですが、エネルギーは電気へと変換される時にさまざまな要因で失われてしまいます。例えば「変換効率10%」の場合は、受け取った光エネルギーのうち1割が電気になるということです。なお、太陽光パネルの変換効率は、現在の技術では最大20%ほどだと言われています。
■モジュール変換効率について
モジュール変換効率とは、太陽光パネル1平方メートルでの変換効率を示しています。メーカーのカタログ等で太陽光パネルの性能を示すために「モジュール変換効率○%」といった形で使用されます。
このモジュール変換効率は、
(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(㎡)×1000W/㎡)
の計算式から算出されています。この数値が高いほど、変換効率が高いということになります。
他の再生可能エネルギーとの比較
参考:東京電力エナジーパートナー「太陽光発電の「変換効率」とは?計算方法や発電量を増やす方法を紹介 – EV DAYS | EVのある暮らしを始めよう(※1)」より
表を見ると、太陽光発電は風力発電や水力発電に比べると効率がよくないように見えます。しかし、そもそものエネルギー源が異なるため、他の再生可能エネルギーと比較することにあまり意味はないと言えるでしょう。また、太陽光発電は他の再生可能エネルギーと比べ初期費用が低いため、導入しやすいというメリットがあります。太陽光発電は他の再生可能エネルギーより劣っているわけではないのです。
<参考資料>
※1:東京電力エナジーパートナー「太陽光発電の「変換効率」とは?計算方法や発電量を増やす方法を紹介 – EV DAYS | EVのある暮らしを始めよう」を参考に画像を作成
太陽光パネルの変換効率に影響を与える要因
■温度
太陽光発電は太陽光で発電しますが、実は太陽光パネルは熱に弱いという弱点があります。つまり日照時間が長いからといって、夏に発電量がMAXになるわけではないのです。最も効率よく発電するパネルの表面温度は25℃で、25℃以降はパネル温度が1℃上昇するごとに発電量が0.5%下がると言われています。実際、各メーカーの太陽光パネルのカタログを見ると、パネル温度が25℃の前提で評価が掲載されています。
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■外部環境
太陽光パネルへの光を遮るものは、太陽光発電の天敵と言えます。パネル設置時点で日当たりが良くても、油断してはいけません。太陽光発電は長期の運用になります。「植わっている樹木が数年後に大きく成長する可能性は?」「高層ビルの建設予定は?」など、将来的に太陽光パネルへの光を遮るものが発生しないか注意する必要があります。
■天気や気候
太陽光発電と切っても切れない関係にあるのが天気や気候です。災害レベルの台風や地震などが発生した場合は、発電量の低下が長期間に及ぶ可能性もあります。積雪で太陽光パネルが埋もれてしまうと晴れていても発電が難しくなります。
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■塩害
遮蔽物が無い海岸沿いは、太陽光が届きやすい環境と言えます。一見メリットしかないように思いますが、海岸沿いに太陽光パネルを設置する場合は塩害を考慮しなければいけません。このように海の塩の影響を受ける地域を、塩害地域または重塩害地域と呼びます。海の近くにある住居も対策をしないとコンクリートの劣化が早くなったり金属部分が錆びついたりしますよね。それと同じで、太陽光パネルや架台・パワコンも塩害による影響を受けるのです。そのため、海の近くに太陽光パネルを設置したい場合は、各メーカーから発売されている塩害仕様(重塩害仕様)の太陽光パネルを選ぶ必要があります。なお、塩害地域または重塩害地域の定義はメーカーや業界・地域によって異なるようです。比較検討する際は、それぞれのメーカーがどのようなマニュアルで塩害仕様と定義しているのかしっかり確認しましょう。
■汚れや雑草
汚れや雑草による影などが原因で電気抵抗が大きくなり、局所的にパネルが高温になる現象を「ホットスポット現象」と言います。発電量が低下し、最悪のケースでは火災の原因となる場合もあります。ホットスポット現象を引き起こす汚れの代表格は、鳥の糞や落ち葉です。特にこびりついた鳥の糞は雨で自然に流れることはありません。また、成長した雑草は気がつかないうちにパネルに影を落とします。しかし安心してください。天気や災害と違って、汚れや雑草は取り除くことで対策が可能です。
清掃や草刈りは費用が掛かるし…と思ってしまいますよね。しかし、清掃や草刈りの実施は発電効率の維持や火災防止につながるため、結果的には十分採算が取れると言えるでしょう。ここで注意したいのは、節約したいからと言って自分で太陽光パネルの清掃や草刈りを行うのはNGだということです。感電やケガをする恐れがありますし、太陽光設備を破損してしまうこともありえます。事業用太陽光パネルの清掃や草刈りの業者をお探しの際は、ぜひ当社【株式会社SAP(ソーラー・アセット・プロテクト)】へお問い合わせください。
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・【重要】草刈りを始める前に!
■経年劣化
太陽光パネルの寿命は20〜30年と言われていますが(※2)、その期間ずっと同じ量を発電できるわけではありません。時間と共に変換効率は低下していきます。劣化率は0.5%未満(/年)のパネルもあれば1%以上(/年)劣化するパネルもあり、メーカーによって異なります。補足ですが、2022年11月現在の情報によると、太陽光発電設備を新規開発する事業者は、太陽光パネルの経年劣化の想定値を年率0.5%程度に設定することが多いようです(※3)。これから太陽光パネルの購入を考えている人は「経年劣化で年々変換効率が下がる」ことを念頭に採算性を判断するようにしましょう。
<参考資料>
※2:経済産業省「太陽光発電について」
※3:一般社団法人 太陽光発電協会 「太陽光発電の現状と自立化・主力化に向けた課題」
太陽光パネルの効率を向上させる技術や知識
太陽光発電の発電量を向上させるため、国内外のさまざまな企業等が研究・開発を行い続けています。ここでは、太陽光パネルの変換効率を向上させる技術の一例や太陽光パネルの傾斜角度について解説していきます。
■パネル表面の反射を減らす技術
太陽光パネルの表面には、ARコート「Anti-Reflection coat(反射防止コート)」という薄膜(コーティング)が施されています。光の反射を減少させる働きがあり、ガラスの透過率も上がるので変換効率の向上につながります。ただしARコートは永続的なものではなく、効果は少しずつ減少していきます。当社では、劣化したり傷んだりした既存のARコートの上に、更にARコートを塗る「AR“リ”コート」も承っています。ARリコートを行うことで、ARコートの性能を復活させることができるのです。「AR“リ”コート」のメリット・デメリットは、【太陽光パネルコーティング】世界に1台「SAPLASTER Ⅰ」登場なるか?でご紹介しております!
■パネル表面の汚れを減らす技術
太陽光パネルの自浄作用を高めるコーティングをセルフクリーニングコーティングと呼びます。SAPが展開する「AR“リ”コート」にも備わっていますが、このコーティングを施すことによって汚れの付着を防ぎ、雨で汚れが自然に流れるようになるのです。セルフクリーニングのコーティング剤は親水性または超親水性のコーティングが一般的に使用されます。親水性…あまり日常では聞かない言葉ですね。ただ、傘などでよく使われる撥水性という言葉と比較すると分かりやすいかもしれません。
撥水性が高い傘は、雨粒が玉(点)のように転がっていきますよね。親水性はその逆で、水滴がベチャッと潰れた状態(面)で流れていく性質を持っています。超親水は太陽光パネルとの接触面が多いため、雨が降った時に汚れを巻き取りながら流れる=太陽光パネルが備えていた自浄作用を手助けしてくれる働きを持っているのです。また、種類にもよりますが、コーティング剤の多くは超親水性以外にも、「帯電防止」や「耐薬品性」も持ち合わせています。帯電防止は汚れの付着を防ぎ、耐薬品性は酸性雨や環境汚染物質等の被害を軽減させる効果があります。
■太陽光パネルの傾斜角度とは?
太陽光パネルに当たる日射量を最大限にするために重要となるのが、設置角度と方位です。角度と方位の最適解は地域や環境によって異なってくるため、万人に共通した正解はありません。最適な傾斜角度や方位で設置するには、専門業者の知識が必須と言えます。参考までに、東京の場合、1年間で日射量を最大に受けられるのは、「真南の方位で約30度の傾斜角度」だそうです(※4)。また、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)のサイトでは、日本国内の日射量データベースを閲覧することができます。日射量の資料を探している人は一度見てみるとよいでしょう。
<参考資料>
※4:一般社団法人 太陽光発電協会「設置方位や設置角度の影響はありますか? 」
太陽光パネル設置後でもOK!発電量向上のためにできること
太陽光パネルの性質上、経年劣化による発電量の低下は避けられませんが、出力が落ちてきたから即買い替え…とはなかなかいきません。つまりパネル設置後は、変換効率の低下をどれだけ緩やかにできるのか?が大切になっていきます。ではどんなことができるのか?ですが、それはズバリ定期的なモニタリングとメンテナンス・清掃です。発電量を定期的にモニタリングすることでトラブルを早期発見=発電の機会損失の回避につながり、異常に素早く対応することで故障の範囲が広がることを防ぐこともできます。パネルの汚れもすぐに取り除けばキレイになりますが、放置していると固着してとれなくなってしまいます。当たり前すぎて拍子抜け…と思われるかもしれませんが、やはり基本が大切なのです。
また、年数が経って故障し始めたり、大幅に発電量が低下したりした場合は、「リパワリング」という選択肢もあります。ざっくり説明すると、リパワリングとは、老朽化した設備を新しくしてパワーアップさせることを指します。太陽光発電におけるリパワリングの詳細は「ココだけは抑えたい!」太陽光発電のリパワリングで詳しくご紹介しています。
まとめ
太陽光パネルの変換効率はパネル本体の性能だけではなく、経年劣化・汚れ・天気などさまざまな要因に左右されます。経年劣化・天気や災害といった抗うことができない要因もありますが、技術の活用や適切な管理を行うことで対処できることもたくさんあります。読者様の発電量の向上に、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
ちなみに、なかなか落ちない太陽光パネルの汚れにお困りではありませんか?他の洗浄業者では落とせなかった汚れも当社【株式会社SAP(ソーラー・アセット・プロテクト)】にご相談ください。太陽光パネルの汚れによる発電量の低下は、プロがしっかりと清掃すればすぐに解決する問題です。あなたの太陽光パネルが最高のパフォーマンスを発揮できるようにお手伝いさせていただきます!
電話でのお問い合わせ:04-7193-8283
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以上、最後までお読みいただきありがとうございました!