【要点まとめ】太陽光パネルの廃棄の方法は?全体の流れをサクッと知ろう!

今は大活躍している太陽光パネル(太陽電池モジュール)。しかし、いざ太陽光パネルが故障した・不要になった時の処理方法をご存じでしょうか?「処理する=廃棄する」と考える人もいるかもしれませんが、まずは再利用(リユース)の可否判断から始めることが推奨されています。そして検討の結果、廃棄処分と判断された使用済み太陽光パネルは、産業廃棄物となるため、ルールに則って処理することになるのです。

この記事では、環境省が発行した「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」を参考に、使用済み太陽光パネルの廃棄方法についての概要をまとめました。全く知識が無い方でも、全体の手順が分かる内容になっておりますので、参考になりましたら幸いです。

なお、本記事は「事業用太陽光パネルの廃棄」を想定して作成しております。家庭用太陽光パネルの廃棄手順と一部異なる可能性がありますのでご注意ください。家庭用太陽光パネルの廃棄については、資源エネルギー庁が発行しているリーフレット「家庭用太陽光発電設備の廃棄について」も参考にしてみてください。

 

太陽光パネルを処理する際の手順

■1.廃棄の判断

現在の法律(2023年8月時点)では、廃棄する太陽光パネルにリサイクルの義務は課せられていません。基本的には産業廃棄物として廃棄されることになります。ただし、廃棄を決定する前に再利用(リユース)を検討することが望ましいです。ここでお伝えするリユースとは、パネルを買い取ってもらい、中古パネルとして再利用することを指します。

【利用終了後の手続き】

太陽光発電設備の利用・発電事業を終了し、発電を停止する場合は、届け出を行う義務があります。

・設備が「再生可能エネルギー特別措置法」の認定対象である場合
→ 再生可能エネルギー発電設備廃止届出書を提出する
※太陽光パネルを廃棄する場合:産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しの添付が必要

・電気事業法第27条第1項の規定による届出を行っていた発電事業者である場合
→ 発電事業の廃止について、経済産業大臣へ届け出を行う

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■2.解体・撤去

廃棄が決定した場合は、撤去・解体業者に廃棄物として処理を依頼します。※発電事業者が自社で解体・撤去する場合もありますが、本記事では外部の業者に依頼するケースでご紹介します。

解体・撤去を依頼された事業者は、廃棄物処理法上の排出事業者として適切な処理を行う責任を負うことになります。

解体工事=事業活動とみなされるため、発注者ではなく、撤去・解体業者が「排出事業者」になるので、混乱しないようにしましょう。なお、請負業者が工事をおこなう場合は、元請業者が排出事業者となります(請負業者は排出事業者とはならない)。発注者側、受注者側(排出事業者)の両方におこなうべきことがあります。下記はガイドラインの内容を簡単にまとめたものになります。詳細は「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」の第2章でご確認いただけます。

〇 発注者側について

特に、「有害物質の情報伝達」は重要です。パネルの種類で異なりますが、太陽光パネルには、鉛・セレン・カドミウム・ヒ素といった有害物質が含まれているものも多くあります。撤去・解体業者は、太陽光パネルにどのような含有物質があるかまでは情報がない限り把握できません。有害物質の有無がうやむやのままだと適切なリサイクルができないことになります。資源エネルギー庁なども対応を急いでいるようですが、効率的な含有物質の情報提供方法についてはまだ検討中のようです。含有物質については自身であらかじめ把握しておくことをおすすめします。

〇 受注者側について

こちらも「有害物質の情報伝達」が重要です。また、産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、産業廃棄物を引き渡しするときに交付が義務付けられています。マニフェストの写しは、5年間保存しなければいけませんので紛失しないようにしっかりと管理する必要があります。

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■3.保管

撤去が終わったら収集・運搬するまで、太陽光パネル以外の廃棄物と混ざらないように適切に保管する必要があります。

・排出事業者が事業場内で保管する場合、または事業場外で保管かつ保管面積が300 ㎡未満の場合
→ 廃棄物処理法に従う

・排出事業者が事業場外で保管かつ保管面積が300 ㎡以上の場合
→ 廃棄物処理法に従う、事前の届出をおこなう(建設工事に伴い生ずる産業廃棄物に限る)

保管の際には、太陽光発電の受光面を下にする、または受光面に遮光用シートを被せて発電しないように分別保管することが推奨されています。

 

■4.収集・運搬

解体された太陽光パネルは、収集・運搬されるわけですが、だれでも自由に収集・運搬ができるわけではありません。産業廃棄物である使用済み太陽光パネルは、排出事業者自ら、または排出事業者から委託を受けた産業廃棄物の収集運搬業者のみが収集・運搬をおこなうことができます。排出事業者が自分で収集・運搬をおこなう場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可証は不要です。ただし、廃棄物処理法の規定の遵守が免除されるわけではありません。

 

■5.処理の実施

産業廃棄物となった太陽光パネルは、基本的に「金属くず」「廃プラスチック類」及び「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」の混合物として処理されます。

収集・運搬された使用済み太陽光パネルは、中間処理業者または埋立処分業者に引き渡されます。中間処理とはざっくり言うと、最終処分場で埋め立てるゴミの量を減らすための作業になります。リサイクルできるものとできないものを分別し、リサイクルできないものは砕いたり燃やしたりして減量化・減容化するのです(ここで適切に分別できるようにするために、太陽光発電設備の所有者は太陽光パネルの情報をしっかり伝える必要があるということですね)。中間処理が終わったら、最終処分場へ埋め立てることになります。

なお、現在の法律(2023年8月時点)では、廃棄する太陽光パネルにはリサイクルの義務は課せられていません。リサイクルの実施範囲を判断するのは事業者になります。つまり、事業者の技術や取り組み方によってリサイクルできる量が変わってくるのです。ちなみに「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について」によると、アンケート回答のあった50社・2021年度実績は、太陽光パネルの回収量2,257tに対し、最終処分量は277tと約12%になっています。しかし、最終処分場の容量には限界があるため、より高度なリサイクル技術の開発が課題となっています。

 

■その他:災害が原因で太陽光パネルを廃棄する場合

災害が原因で太陽光発電パネルが落下・破損し、自然環境や生活環境への影響が出る場合は、一般廃棄物である「災害廃棄物」として市町村が処理することになっています。前項までで説明した手順とは異なるので注意が必要です。詳細は、太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)の第5章を参照してください。


まとめ

太陽光パネルを廃棄物として処理する場合の手順を解説しました。使用済み太陽光パネルは産業廃棄物になるため、業者に依頼する場合は、資格取得の有無や法令の遵守をおこなっているかをしっかりと確認する必要があります。知識不足で知らない間に違法なことをしていた…とならないように、注意してくださいね。

このたびSAP(株式会社ソーラー・アセット・プロテクト)は、「産業廃棄物収集運搬業許可証」を取得し、新規事業といたしまして、太陽光発電設備の廃棄における産業廃棄物収集運搬業を開始いたします。太陽光パネル洗浄の実績多数の強みを生かし、社員一同皆様のご要望にお応えしていく所存でございますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます!

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

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