太陽光発電+農業?話題の営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を知ろう!

今回のブログでは、日本ではまだ見かけることが少ない営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説していきたいと思います。

 

営農型太陽光発電とは

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは、畑や田んぼに柱を立てて太陽光パネルの屋根を作り、農業による収入と太陽光発電による収入(or 自家消費型発電)を両立させようとする取り組みです。SDGsでも取り上げられている食料やエネルギー自給問題、環境問題など様々な課題の解決にもつながると期待されている今注目の新ビジネスです。

 

太陽光発電普及に向けた3つの課題

日本が抱える様々な課題の解決にもつながると期待されている営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)ですが、営農型太陽光発電に限らず太陽光発電自体の普及には乗り越えなければいけない3つの課題があるといわれています。

① イニシャルコスト

FIT開始以降、太陽光発電のイニシャルコストはありがたいことに大きく低減しています。2012年は発電設備の導入費用がkWあたり42.2万円でしたが、7年後の2019年には26.6万円まで下がっています。電気料金の高騰をうけ、自家消費型太陽光発電を検討する企業や家庭も増えていますが、やはり初期費用がどれだけかかるのか? 今後どれだけ下げられるのか? 導入拡大への鍵となっています。

② 電力系統の制約

電気の需要と供給量のバランスをとるために一時的に太陽光の発電を制御しなければならなくなることも課題となっています。詳しくは前回の記事をご覧ください。
また、前回のブログではふれていませんが、送電線の制約も含まれます。要約すると太陽光発電所を新しく作っても、周りの送電線の容量に空きがないと電気を送ることができないということです。現在の送電設備では容量に限界があるので、新しい送電設備を作る計画はもちろんですが、既存の電線の空き容量も最大限活用していこうと検討されています。

③「立地の制約」と「地域社会の理解」

太陽光発電設備を設置できる土地には決まりがあります。土地の地目でいうと【雑種地・原野・山林・宅地】などが主で、畑や田んぼなどは地目が【農地】になるので勝手に太陽光発電設備を作ることはできません。
また、地域社会の理解は今後太陽光発電(再エネ)が主力電源に相応しい電源になっていくために必要不可欠です。太陽光発電の開発をめぐって地域住民とトラブルになったケースもありますので、たとえ太陽光発電に最適な場所であっても地域の方々の不安や懸念がなくなるように太陽光発電導入の意義を理解してもらう必要があります。

今回のテーマである営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は③の「立地の制約」に深く関係しています。【雑種地・原野・山林・宅地】に太陽光発電設備は建てられるのに、なぜ【農地】に太陽光発電設備を設置することはダメなのでしょうか?

 

太陽光発電が農地には建てられない事情

農地については『農地法』という農地を守る法律があり、農地の売買や農地以外に転用することを規制しています。これは農業者の権利を守るとともに日本の農業生産を促進し、国民に安定した食糧を供給するためとされています。

そんな農地をつぶして太陽光発電所を作りたいと思ったら、地目を変更するために『農地転用の申請』を行わなければなりません。もちろん国から大切にされている農地を簡単につぶすことはできませんので、申請しても許可されない場合もあります。


諸外国の食料自給率等」(農林水産省)をもとにSAPが作成

図のとおり日本の食料自給率は諸外国と比べ低く、私たち日本人が食べる食料の半分以上を海外からの輸入に頼っていることになります。これが非常にマズイのです!

日本国内だけで見れば少子高齢化が大きな問題として取り上げられているので、あまり人口が増えている気はしませんが、世界的に見ると1990年に52.8億人だった人口は、つい先日の11月15日に80億人を突破しました。このペースでいくと2050年ごろには100億人を突破するのではないか?とも予想されています。そうなると世界的に食料の争奪戦が激化します。食料の輸出国としては、より高く買ってくれる国に売りたいので価格は当然高騰します。今普通に食べているものが高級品として口にすることができなくなる未来が迫っているのです。外交上の問題や天気の影響によって食料自体が入ってこないことも考えられますので、高い値段でも輸入できるだけマシなのかもしれませんね…

少し前のブログでもお伝えしておりました通り、日本はエネルギー自給率も先進国の中ではダントツに低いのでFIT制度をはじめ太陽光発電の設置に国もバックアップを図りましたが、食料自給率もご覧の通り低いので太陽光発電といえども食料自給率を下げることに直結する農地の転用を簡単に認めるわけにはいかないのです。

 

営農型太陽光発電は許可不要?

では、食料自給率もエネルギー自給率もアップさせる今の日本にとって救世主となるような【営農型太陽光発電】ソーラーシェアリングなら農地転用の許可はいらないのでしょうか?

結論から言うと、許可は必要になります。

【営農型太陽光発電】ソーラーシェアリングを設置しようとする場合、畑や田んぼに支柱を建てる必要があります。その支柱部分に対して『農地の一時転用許可』が必要となるのです。一時という言葉通り「いずれは農地に戻します」という約束です。許可される一時転用期間は原則3年以内とされていますが、荒廃した農地を活用する場合などの条件に合致すれば10年以内という長期間の一時転用期間が認められます。

「3年とか10年しか発電できないなら初期投資が回収できない!」という声が聞こえてきそうですが、一時転用許可は再度許可を受けて延長することが可能です。ただし、営農が適切に継続されているかどうか年に一度しっかりチェックされます。その結果次第では設備を撤去して農地に復元しなければならない場合もありますので注意しましょう!

農地をつぶす必要がある【農地転用型太陽光発電】と違って、農地を活かしたまま発電ができる【営農型太陽光発電】ソーラーシェアリングは国が推進していることもあり、設置のための農地一時転用申請の件数は増加傾向にあります。


太陽光発電設備を設置するための農地転用許可実績について」(農林水産省)をもとにSAPが作成

 

まとめ

営農型太陽光発電は耕作を放棄された土地や荒廃した農地の再利用ができると農林水産省も有望視しており、これから営農型太陽光発電を始めたいと考えている方のために取組支援ガイドブックまで用意しています。相談窓口なども開かれているので国の全面的なバックアップを受けて新しいビジネスに挑戦することができるのは心強いですね!

最後にソーラーパネルの清掃を生業とするSAPから営農型太陽光発電について一言…
洗いにくくてしょうがないです(笑)

営農型太陽光発電のパネル洗浄を何度かご依頼いただきましたが、洗浄することを考えて設置されているものは少なく、汚れによって発電量が落ちているにも関わらず洗浄することができないのでご依頼を断らざるをえない場合があります。

これから営農型太陽光発電をご検討されるお客様にはソーラーパネルの洗浄ができるように設置することをオススメいたします。

営農型も、野立ても、屋根上も、
ソーラーパネルの汚れが気になったらSAPまでお気軽にご相談ください!

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