FIT(固定価格買取制度)が終了したらどうなるの?

太陽光パネル洗浄の繁忙期が続いており東海~近畿に2ヶ月近く滞在していたら千葉県名産の落花生が恋しくなってきたSAP秋元です。最近はオリンピックとコロナ関連のニュース一色ですが、今年のカレンダーや手帳の祝日が間違っているかもしれないのはご存知でしょうか?!一番直近で7月19日(月)海の日が7月22日(木)に移動しています。19日は平日になっているので無断欠勤にご注意ください(笑)

さてさて気を取り直して。今回はFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)終了後の太陽光発電はどうなっていくのか考えてみたいと思います!

 

 

そもそもFITって何?

FIT(フィット)とは「Feed in Tariff」の略称で、「Feed in~」は「~を絶え間なく入れる」という意味を持ち、「Tariff」は「関税」を意味します。国が再生可能エネルギーの普及を目的として、事業者さんが再生可能エネルギーを導入したときに発生するコストを考慮しますよ!との意味を持つ「再生可能エネルギー固定買取制度」のことをFITと呼びます。

2009年にFITをスタート(正確にはFITの前身「余剰電力買取制度」)された住宅用太陽光発電は1kwhあたり48円で余剰電力を10年間買い取ってもらえていましたが、FIT終了後の大手電力会社の買取価格は6分の1程度(大体7~8円くらい)まで下落してしまいました。

 

 

住宅用太陽光発電のFIT終了後

住宅用太陽光発電(10kw未満)のFIT期間は10年でしたので、2019年に早くも卒FITを迎えた住宅用発電は53万件にも及びます。1年だけでもこんなにあるのもビックリしましたが、今年は累計で100万件を突破しそうですね。

※資源エネルギー庁による注意喚起はこちら:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/


※ 出展:資源エネルギー庁資料より

そんな住宅用発電のFIT卒業後の進路は大きく2つのタイプに分かれます。

 

① 自家消費タイプ

「安い価格でしか買ってもらえないなら、自分で効率よく使った方が得!」という考えを持つ人は多いようです。要は「余った電気を売るより、電気エネルギーの割合を高くして余らせないように自分で使いきる!」という考えです。具体的にはガスをやめてオール電化にしたり、思い切って自家用車を電気自動車にしたり、それでも余ってしまうというご家庭は家庭用蓄電池を購入し、電気を貯めて夜間電力や非常用の電源として利用することで無駄をなくすことが可能です。でも初期費用は掛かりますね…。

 

② 売電継続タイプ

「家庭用蓄電池や電気自動車などの初期投資はできないし、色々面倒だ!」という人は今まで通り売電を継続されるようです。契約先も今まで通りだと安心ですし、あれこれ考えなくて済みます。が!「新電力」と呼ばれる電力が自由化されてから新規参入した電気事業者の中には、先ほど記載しました大手電力会社の買取価格よりも高値で買い取ってくれる会社もありますので、一度調べてみることをオススメします。

 

 

産業用太陽光発電のFIT終了後

次に事業用太陽光発電はFIT終了後どのような選択肢があるのでしょうか?
具体的には大きく分けて3つの選択肢があると考えられます。

 

① 売電継続

売電継続につきましては、先ほども述べましたが既存電力会社か新電力会社に売電するということで、なるべく高く買い取ってくれるところを見つけましょう!ということです。重複するので説明は省きますね。

 

② 自家消費へ切替え

自家消費につきましても住宅用で触れておりますが、事業用太陽光発電においても今、最も注目されている方法です。ここでもFIT終了後は蓄電池の導入が必要になります。ただし、近くで事業施設を営んでいる方に限定されてしまいます。弊社親会社の太陽光発電所も茨城県古河市にあるので切り替えられません、、、。
これから事業用太陽光発電を始めたいという方は売電価格にとらわれるよりも「売電期間終了後には、自家消費できるようにする」という発想に転換し、はじめからFIT終了後を頭に入れて設備を選ぶことが重要です。この考えで太陽光発電を始めれば、「全量売電のメリット」+「電気代ゼロのメリット」の両方を得ることができるので、とても経済的メリットが高くなるそうです。

 

③ 太陽光発電を終える

家庭用と違いメンテナンス費用が高額になる事業用太陽光発電所は、その高額な維持費と安くなってしまった買取価格では採算が合わない場合もあります。
そうなった時には太陽光発電を終える=設備を処分するという選択肢もあります。

ソーラーパネルは産業廃棄物として、撤去費用、処分費用、運搬費用など、かなりのコストがかかります。そのため、ソーラーパネルが適切に廃棄されないのでは?との懸念が高まっています。借地でおこなわれている事業用太陽光発電については借地期間終了の際に原状復帰が義務付けられているのが一般的であることから、放置される可能性は低いと考えられていますが、問題となるのは、事業者が所有している土地でおこなわれている事業用太陽光です。
実質的に終了していても、コストのかかる廃棄処理を行わずに、有価物だとしてパネルが放置される可能性があるのです。また、鉛・カドミウム・セレンなどの有害物質が含まれているパネルもあり、長期間放置されることにより有害物質の流失も懸念されています。

その対策として、出力10㎾以上の太陽光発電設備に関しては、FIT価格にあらかじめ廃棄に必要な費用を折り込む形で設定されていますし、最近では廃棄費用をあらかじめ積み立てておくようなど計画的な運用を進めるために様々な規制も出てきています。

 

 

まとめ

このように「太陽光発電を終える」以外では自家消費・蓄電池の併設等、FIT終了後もまだまだメリットが出せる可能性があることがわかりました。また過去のブログに登場しましたセカンダリーマーケットや、これからのFIP制度等もふまえて、とにかくアンテナを張って情報を集め、自身の太陽光発電所はいったいどの道を選ぶことが一番得策なのかを見極めていくことが大切だと思います。

セカンダリーマーケット事情についてはこちら:https://sap-solar.jp/megasolar/2021/03/17/

FIT終了と同時に太陽光発電を終える選択でも20年。FIT終了後も売電継続、自家発電を選択する場合は20年以上太陽光発電所を維持していかなくてはなりません。そのためには定期的な太陽光パネルの清掃が必要不可欠になります。
FITの卒業を迎えた方も、まだ迎えていない方も、安定した発電を長期的に行っていくために「ソーラーパネルの洗浄」はSAPまでお気軽にご連絡ください!