電力不足の国へ羽ばたけ!太陽光パネルのリユース

FIT(固定価格買取制度)期間の終了と20~30年ほどと言われている太陽光パネルの寿命が重なって2030年代には太陽光パネルの大量廃棄時代が到来することが見込まれています。
【FITが終了したらどうなるの?】
https://sap-solar.jp/megasolar/2021/07/16/

環境省の推計によると、2020年に約2,800トンだった使用済み太陽光パネルの排出量が、2030年には約29,000トン、2040年には約800,000トンの排出量になると予想されています!

再エネとしてクリーンなイメージで広まった太陽光発電ですので、最後まで適正な処理を行って資源を循環させることが出来なければ、真にクリーンなエネルギーとは言えません。
1年でも長く太陽光パネルを維持するためにパネルを清掃することも資源を有効活用するために必要ですが、今回は一度役目を終えた太陽光パネルのリユースに注目してみたいと思います!

 

「リユース」と「リサイクル」の違い

「リユース」と似た言葉で「リサイクル」という言葉もよく聞きますが2つの違いはなんでしょうか?

「リユース」とは商品の形を変えずにもう一度利用することですね。
洋服をリユースするお店やWEBサイトはよく見かけますが、実は太陽光パネルもリユースされていたのです!

太陽光発電所の借地契約期間が終了して更地に戻すとき、太陽光パネルを発電効率の良いパネルに買い替えるとき、地震や台風などの自然災害など、様々な理由によってパネルを処分してしまうケースも多いようですが、太陽光パネルの寿命は長く20年以上経過した中古パネルでも定期的にパネル清掃などのメンテナンスをしていれば、まだまだ元気に発電してくれます。

太陽光パネルの中古市場があれば、これまで捨てられていたパネルを再利用できるので、天然資源や生産にかかるエネルギーを減らすことができてCO2の削減にもなります。

今盛んに叫ばれているSDGsやRE100など環境への取り組みにもつながりますので、今後の太陽光パネル中古市場から目が離せません!

ちなみに、自然災害でも水没してしまったパネルはリユースできないのでご注意を!

 

リユースの審査

廃棄されるパネルを全て再利用できればベストですが、リユース品として流通させるには環境省が設けるガイドラインに従って再販しなければなりません。簡単にリユース品として再販することは難しいのです。

これは「リユース」と称して完全に使用できなくなった太陽光パネルを海外へ不正輸出することが問題となったからです。

先ほどの水没した太陽光パネルもそうですが、使えなくなった太陽光パネルを大量に産業廃棄物として処分するには多額の費用がかかります。「それなら使えないパネルを破格で販売して海外へ送ってしまおう!」という良からぬことを考える人が出てきたのです。

そこで環境省は太陽電池モジュール(太陽光パネル)のリユース品として流通させるための条件などを明記した「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」を策定したのです。

【太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン】
https://www.env.go.jp/press/109600.html

かなり細かく記載されていますので、お時間に余裕のある方でないと熟読は難しいと思います(笑) この内容をまとめた動画も下記にリンクを貼っておきますね。
https://www.youtube.com/watch?v=KYZOSIJcbxU

日本国内の中古パネル売買は取引者間の合意でOKですが、海外に輸出する場合は違います。

先ほどのような不正輸出を防止するために、輸出予定の太陽光パネルが廃棄物でなくリユース品としてちゃんと使えるということを証明しなければなりません。

さらに!海外で利用できる事実を提示して、必要な付属品が欠損している場合は、現地でちゃんとその付属品が調達できることまで証明しなければならない等… 他にも基準があるので輸出までの道のりは険しいのです。

 

オフグリッド

そんな厳しい審査をクリアして海外へ飛び立った太陽光パネルは日本でも注文されている「オフグリッド」とよばれる使い方をされて現地で活躍しています。

オフグリッドとは、電線(グリッド)から切り離された(オフ)状態のことを指します。簡単に言うと電気を自給自足している状態のことですね。

日本でも人里離れた山小屋や無人島など電線のないところで電気を使いたいとなれば自分で作り出すしかありませんよね? そこで中古パネルとバッテリーを組み合わせた独立型のオフグリッドシステムを販売したところ、大変人気が出たそうです。

よく見かけるソーラー発電式の外灯などもオフグリッドと呼べますね。日中、太陽光のエネルギーを集め、暗くなったら自動点灯する仕組みです。これなら自宅の庭に置いてすぐ使えるので、脱炭素化(カーボンニュートラル)に向けて一般家庭でも協力できますね!

 

まとめ

スイッチ一つで電気が点き、調理もできる生活が当たり前になった日本ですが、発展途上国の中には電気が通っていないエリアもたくさんあります。そこに住む人は森林を伐採して薪を燃やして明かりを作り、調理にも薪の火を使用しています。

もしこのような電気がないところに電気が生まれたら、森林伐採を止められるだけではなく、そこに世界中の情報が入ってくるようになります。そうすると新たな産業が産まれる可能性が増え、人が集まるようになり雇用も発生するので、そこに住む人々の暮らしがより豊かなものになっていきます。

このように太陽光パネルのリユースを含めた再生可能エネルギーの普及は環境に対するメリットだけではなく、17項目あるSDGsの一つ一つに深く結びついています。

パネルリユース事業はまだまだ走り出したばかりですが、この先できるだけ不必要な廃棄を減らすために太陽光パネルのリユースが必要不可欠です。パネル中古市場がもっと活性化すれば品質自体も向上し、消費者も安心してリユースパネルを選べるようになります。そうすることで脱炭素社会の実現が加速していくことを期待したいですね!