皆様、猛暑お見舞い申し上げます。
流行りの空調服を手に入れ意気揚々と草刈りをしていたら細かい虫が服の中に吸い込まれていることに気づき、ちょっとテンションの下がった秋元です(笑)
つい先日まで猛暑の影響もあって『電力需給ひっ迫注意報』が発令されました。
「電気が足りない!節電しよう!」との呼びかけに、暑がりな私も冷房の設定温度を高めにしたり、こまめに電気を消すようにしていました。
というわけで、今回は身近な電力事情についてブログを書いてみましたので5分ほどお付き合いくださいませ。
電力需給ひっ迫『警報』・『注意報』とは?
季節外れの暑さによって発令された電力需給ひっ迫『注意報』ですが、『警報』もあることはご存じですか?
電力需給ひっ迫『注意報』『警報』はどちらも「電力が足りないから節電してください!」と経済産業省が発する呼びかけで、大規模な停電(ブラックアウト)を防いだり、計画停電を実施しなくても済むように発令されるものです。
電力需給ひっ迫『注意報』は電力の予備率が5%以下になりそうな時に発令され、電力需給ひっ迫『警報』は3%以下になりそうな時に発令されます。
どちらもまだ一度しか発令されていませんが『電力需給ひっ迫警報』が初めて発令されたのは今年の3月22日でした。
東北地方で発生した震度6強の地震で首都圏に電力を送っていた14基の火力発電所が緊急停止し、その後も何基か復旧のめどが立たなかったことが大きく影響したそうです。
ではなぜ今回は地震が起きたわけでもないのに『電力需給ひっ迫注意報』が発令されたのでしょうか?
「季節外れの暑さやコロナ禍での巣ごもり消費による電力使用量のアップくらいなら発電所をフル稼働させれば電力は不足しないんじゃないの?」なんて素人の私は考えてしまいますが、そこには色々と大人の事情があるようです。
ひっ迫理由・其の一 / 電力の自由化
意外かもしれませんが2016年からスタートした電力の自由化も電力不足を引き起こしている原因の一つだといわれています。
電力の自由化は、上手に新電力会社と契約すれば電気代が安くなるメリットもあり急速に広まっていきました。
この新電力会社が入ってきたことによって、今まで大手電力会社の独壇場だった電力市場で価格競争がはじまりました。
大手電力会社も価格競争で生き残らなければならず、徹底的なコストダウンを強いられ「いざ!」という時のために残しておいた採算の取れない火力発電所を休止・廃止していくことになったのです。
これには脱炭素社会実現に向けた社会的な流れも大きく影響しています。
再生可能エネルギーが台頭すればするほど、環境へのダメージが大きいとされる火力発電所の立場はなくなっていきました。
ですが!そんな火力発電には再生可能エネルギーにない大きなメリットがあります。
基本的に電気はガスや石油と違って大量に貯めておくことが難しく、需要がある時に発電する必要があります。
再生可能エネルギーはお天気に大きく左右されるので「いざ!」という時に弱いのですが、
火力発電は燃料があれば天候に左右されることなく需要にあわせて発電することが可能なので、電力に困った時はとっても頼りになる存在なのです。今まで私たちが電力に困らなかったのは「火力発電所のおかげ」と言っても過言ではありません。
ひっ迫理由・其の二 / ロシアによる軍事侵攻
電力がひっ迫している理由にはロシアによるウクライナへの軍事侵攻も関係しています。
天然ガス、石炭、石油などの化石燃料埋蔵量が豊富なロシアは世界でも有数のエネルギー資源輸出国ですが、ウクライナ侵攻によって世界中から経済制裁を受けることになり、収入源となっていたエネルギー資源の輸出を縮小せざるを得なくなりました。
日本も国際社会と足並みをそろえるべく、ロシア産エネルギー資源の輸入を段階的に制限することを表明しました。
ですが、エネルギー自給率の高いアメリカやオーストラリアと違って、日本のエネルギー自給率は10%程度です。ロシアを含めた海外に燃料の供給を依存している日本にとってこの経済制裁は諸刃の剣となってしまいます。燃料が入ってこなければ発電できませんからね…
「再生可能エネルギーが普及している!」と言っても全体の割合で見ると、まだ20%程度前後でしかなく、日本は依然として火力発電に依存していることがわかります。
電気料金の高騰
ロシアによるウクライナ侵攻が及ぼす影響は電力のひっ迫だけではありません。
「ここ最近、電気代が上がっていませんか?」
ロシアという大きな供給元がなくなると、需要が供給を上回って化石燃料の価格が高騰し、日本は高くなった化石燃料を他の国から買うしかなくなります。
電力会社は高騰した化石燃料を仕入れざるを得ないので、必然的に私たちが支払う電気料金も値上がりしてしまいます。
ですが、電力会社の電気料金プランは値上げの上限を決める制約があるので大幅に値上げすることができません。そのため大手電力会社は軒並み赤字を計上することになりました…
電気料金の高騰は新型コロナウィルスによって経済が停滞したことによる影響も大きいので、ロシアの軍事侵攻だけが原因ではありませんが、値上がりし続ける再エネ賦課金も重なって、悲しいことに電気代の値上げはこれからも続いていくと予想されています…
<再エネ賦課金についてはこちら>
家庭での対策
上がり続ける電気代、安定しない電力の供給…
節電以外に私たちができる対策はないのでしょうか?
そこで注目されているのが「太陽光発電設備の導入」です。
早速、設置するメリット・デメリットを見てみましょう!
メリット
① 電気代が安くなる
自宅で発電した電気が使えるので、電力会社から購入する電気を減らすことができます。
反対に使いきれず余ってしまった電気は、電力会社に売ることもできるので無駄がありません。最近ではZEH(ゼッチ)と呼ばれるゼロエネルギー住宅も話題です。
ZEHとは
netZeroEnergyHouse(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、エネルギーの収支をゼロ以下にする住宅のことで、太陽光発電による自家発電は欠かせません。省エネシステムや高性能の断熱効果も備えたエネルギー効率の良い住宅「ZEH」と認められれば国から補助金も出るようなので、これからマイホームを検討している方は要チェックです!
② 災害時の停電対策
つい最近の出来事ですが、群馬県で起きた落雷による大規模な停電にSAPのスタッフも巻き込まれてしまいました!停電は夜だったのですが当日は猛暑日ということもあって宿泊先のホテルの部屋はどんどん暑くなり、真っ暗な中いつまで続くのかわからない不安に襲われ、急遽対策に追われることになりました。幸い20分ほどで復旧したので大事に至りませんでしたが、こんな時のために蓄電池もあわせて導入しておけば、太陽の出ていない夜間でも継続して電気を使うことができるので助かりますね。個人的には冷蔵庫の食品を腐らせなくて済むことも大きなメリットだと思います(笑)
③ 節電意識が高まる
家庭用太陽光発電を導入すると電気消費量をリアルタイムで確認できるモニターが設置されます。エアコンの温度を変えたり、コンセントを抜いたりする節電行為が数字になって表れるので、導入した人は節電を意識するようになって電気代をグッと抑えることができるそうです。
デメリット
① 雨漏り
太陽光パネルを屋根に設置する場合は屋根に穴を開けてパネルを固定するための金具を取り付ける必要があります。実際に施工する職人さんの腕や使用する材料にもよりますが、開けた穴から雨漏りしてしまう場合があります。今は穴を開けないタイプの設置方法なども開発されていますので、設置方法や雨漏り対策、アフターフォローの内容までしっかり確認して、施工実績豊富な優良業者さんを探すようにしましょう。
② 屋根工事の妨げ
屋根の種類にもよりますが、一般的な住宅では10~15年に一度くらいのペースで屋根の塗装を塗り替える必要があります。塗装が劣化すると、屋根材が雨水を弾かなくなり、水を吸収して雨漏りの原因になったり、水の吸収と乾燥を繰り返すことで屋根材が変形してしまいます。
太陽光パネルの影になって雨や紫外線の影響を受けにくい部分は劣化しにくいと言われていますが、いずれ塗装する時はやってきます。その時に塗装をしようと思っても太陽光パネルが邪魔になってしまい、余計な工賃が発生してしまいます。
③ 耐震性の問題
今住んでいる家に太陽光パネルを後からつける場合には特に注意が必要です。
言うまでもなく屋根の上は建物の最も高い位置です。その最も高い位置に重いものを載せると地震の時に建物が揺れやすくなり、建物に深刻なダメージを及ぼします。パネルを設置する前に高額な耐震工事が必要になるケースもありますので、必ず家を建てたハウスメーカーさんや工務店さんにも相談するようにしましょう。
まとめ
リモートワークが増えて家にいる時間が長くなったことで、電気使用量を気にするようになり、太陽光発電に興味を持つ方が増えているそうです。今後、新型コロナウィルスによる感染が収まったとしても、このライフスタイルは継続されると予想されています。
とは言ってもFIT(固定価格買取制度)が終了する流れの中で売電価格も年々下がっているので「今さらソーラーパネルを屋根に取り付けても採算が合わない!」と思っていませんか?
実は太陽光発電の需要が増えたこと、技術開発が進んだことで、太陽光発電設備を導入するための初期費用は着実に下がってきています。今から10年前と比較して導入コストが半分以下になったケースもあるんです!太陽光パネル自体の性能もアップしているし、電気代も上がっているので、投資費用の回収(減価償却)という観点でも悪くなっているわけではないのです。
このように太陽光発電は費用面でも環境面でも優れているので、東京都の小池都知事から「新築住宅には太陽光発電を義務化する」という案が発表されているくらいです。ですが、屋根に乗せることによって起きるデメリットがあることも事実なので、しっかり把握した上で慎重に検討しましょう。
「電力供給」「電気料金」が世界情勢に左右され続ける日本は、いち早く再生可能エネルギーを普及させて他国への依存体質から脱却しなければいけませんが、結局は国やエネルギー事業者さん頼みになってしまいます。
私のような庶民でもできることとして太陽光発電設備の導入にも触れましたが、使っていない家電のコンセントを抜いたり、エアコンのフィルター掃除、ピーク時の利用を避けたりすることなど、個人でも遠回りに貢献できることは結構あります。
このブログを執筆中に、偶然こんな自動販売機も見つけました。(笑;)
このブログを最後まで読んでくださったあなたも今日から節電頑張ってみませんか?