太陽光パネルのリユースとは?発電事業者にとってのメリットも解説!

環境省が発行した「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」では、太陽光パネルの処分を検討する際、廃棄よりも先にリユース(再利用)の可否判断をすることが推奨されています。しかし実際にリユースの検討をしたことがある企業は多くないのが現状です。この記事では、環境省が発行した「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」等を参考に、太陽光発電事業者が知っておきたい太陽光パネルのリユース概要をまとめました。

現在進行形で処分を検討している人だけではなく、まだ太陽光発電設備を導入したばかりの方にもぜひ知っていただきたい内容になっております。それは、どの太陽光パネルもいつかは手放す日が来るからです。いざという時、事業者と環境の双方にとってベストな選択は何なのか?を冷静に判断できるように、ぜひ今からリユースについて学んでいきましょう!


パネルリユースの現状と課題

それでは、日本国内のリユース事情と課題について解説していきたいと思います。まず、リユースの検討が一度もされずに、そのまま廃棄処分(リサイクル)されてしまう太陽光パネルが決して少なくない…というのが実情です。一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)の調査によると、パネル処分時にリユース売却を検討しているのはわずか12%という結果が出ています(※1)。なぜこれほど少数にとどまってしまうのでしょうか。

要因の一つとして、国内ではまだリユースのためのノウハウが浸透しておらず、手順がわかりづらい点が挙げられます。現段階では、詳細なマニュアルが無いため、リユースが可能かどうかの判断が難しいのです。リユースパネルの購入を検討している側にとっても、販売会社によって品質が違うとなるとなかなか購入に踏み切れないですよね。また、リユースパネルを導入する際には、申請できる補助制度が無いこともパネルのリユースを阻む要因となっているかもしれません。

しかし、令和3年5月には環境省が「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」をまとめるなど、少しずつリユースが選択しやすい環境が整い始めています。将来に向けて太陽光パネルのリユースの増加が期待されるため、太陽光パネルを所有している人は、今後のリユース市場の動向に注目しておくとよいかもしれません。

<参考資料>
※1:REASP「太陽光パネル リユース・リサイクルの事業者実情および同推進への施策等


太陽光パネルのリユースがなぜ必要なのか

■リサイクルではなくリユースが望まれる理由とは

太陽光パネルはリサイクルできない素材も多く使われており、リサイクル不可の素材は産業廃棄物として「管理型最終処分場」で埋め立て処分されることになります。管理型最終処分場とは、簡単に言うと、廃棄物の浸出液による汚染防止措置が取られた最終処分場のことを指します。簡易な構造の安定型最終処分場よりも処分費は高く、受け入れ容量にも限りがあります。つまり、パネルの一部をリサイクルしたとしても、廃棄する限りは一定量の廃棄物が出てしまう=管理型最終処分場が足りなくなる…という事態を招くことになるのです。

前置きが長くなってしまいましたが、ここで注目されるのがリユース(再利用)です。誰かにとっては役目の終えた太陽光パネルも、まだ使えるのなら次の人にバトンを渡す──多くの人がリユースを選択すれば管理型最終処分場がいっぱいになる日を遅らせることができます。もちろん場所だけの問題ではなく、廃棄物を減らすことが地球環境への負荷軽減になることは言うまでもありません。

 

■リユースのメリット

リユースは、最終処分場の問題や地球環境への負荷軽減だけでなく、発電事業者にとってもメリットがあります。

<リユースパネルを購入する側のメリット>

・販売が終了している型式も入手できる
太陽光パネルは長期間に渡って使用するため、交換が必要になった際には終売してしまっているケースが考えられます。仕方なく後継品や似たパネルに交換となると、取付架台の調整やFIT制度の変更認定申請が必要になることも。そんな時にリユースパネルで同じ型式が手に入れば、施工面や手続き面の負担がグッと軽くなるのです。

・納期が短縮できる
破損や故障は、前触れなく起こります。一刻も早く交換して機会損失を避けたいところですが、交換用新品パネルの納期は長期化しているのが現状です。しかし、すでに在庫としてあるリユースパネルを活用すれば、早期復旧が期待できます。

・復旧工事の費用が削減できる
費用を考えるなら、交換と撤去は同時におこなうことが理想的です。ところが、安全面を考えると「交換用新品パネルが届くまで、破損した太陽光パネルを放置しておく」というわけにはいきません。前述したように交換用新品パネルの納期は長期化しているため、撤去と交換は別の日程でおこなうのが一般的となっています。そこでリユースパネルの出番です。リユースパネルであれば、大幅な納期短縮が見込めるので、同日に撤去と交換の実施が可能となります。費用も時間も削減できるのです。

<リユースパネルとして売却する側のメリット>

・廃棄費用を削減できる
太陽光パネルは産業廃棄物に当たるので、廃棄するにも大きな出費が発生します。しかし、パネルをリユースすることで廃棄費用の削減を図ることができるのです。それに、本来廃棄する予定だった太陽光パネルが別の場所で再び活躍できるのなら、元所有者も嬉しいですよね。


太陽光パネルの再利用方法

ここでは、環境省が発行している「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」(以下、ガイドライン)を参考に、太陽光パネルのリユース判断の基準について説明していきたいと思います。太陽光パネルの処分を考えている方や、リユースの太陽光パネルの購入を検討している方はぜひご覧ください。なお、今回は国内での取引を前提として解説しますので、海外輸出時の対処事項や必要書類については、ガイドラインを参照してください。

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■製品情報と外観・損傷部の確認
製品情報として、太陽光パネルのメーカー・型式・年月情報(製造年月・設置年月・撤去年月)・パネルを手放す理由・リユースパネルの販売事業者名の情報提供は必須となります。

外観チェックは、明るい場所での目視検査で、破損や腐食がないかを確認します。発電に大きく影響する汚れがある場合はリユースができません。汚れがなければリユースできたのに…とならないよう、売買する前に付着した汚れを洗浄しておきましょう。もし事業用太陽光パネルの清掃の業者をお探しの際は、ぜひ当社【株式会社SAP(ソーラー・アセット・プロテクト)】へお問い合わせください。


※ 太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン【3.2 製品情報・外観の観点に関する条件】をもとに作成

 

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■パネルの正常動作性
リユース品として利用できるかの判断として、太陽光パネルの基礎的な要素である「発電性能」と「絶縁性能」が機能しているかの確認が必要です。見た目がキレイでも、安全に発電できなければ意味がありませんものね。

発電性能は、直近数か月分等の「発電実績記録」または「保守点検記録」を提出できる場合は、原則として検査は不要となっています。ただし、被災したパネルを扱う場合は、記録の有無に関わらず検査を検討する必要があります。絶縁性能に関しては、「目視検査記録」または「絶縁性能検査結果」などを書類にまとめ、提出できる状態にしておきます。発電性能・絶縁性能ともに、記録の責任者(売り手)の名前等もまとめておきます。

■梱包・積載について
せっかくリユースが決まったのに、輸送時に破損してしまっては元も子もありません。荷崩れが起きないよう、十分な結束と保護が求められます。さらに輸送中に発電・感電しないように対策が必要です。パネル面に太陽光が当たらないように発電面を下にする、しっかり遮光するなど、十分に注意しましょう。


※ 太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン【3.4 梱包・積載状態の観点に関する条件】より引用


リユースを検討する際の注意点

■パネルのリユース業者が法律を遵守しているか?
太陽光パネルをリユース品として扱う業者は、古物営業法の遵守が求められます。リユースができないと判断される場合もあるため、廃棄物処理法にも対応できることも必要条件となります。

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契約条件が明確化されているか?
パネルの買い取り、またはリユースパネルの購入が初めての人も多いでしょう。取引の際には、契約条件が明確化されているかをしっかり確認する必要があります。中古品は、メーカー保証の失効が懸念されます。後々トラブルにならないように、保証事項を含めた契約条件が記載された書類を作成しましょう。


まとめ

太陽光パネルのリユースについて、現状の課題やメリット・再利用までの流れを解説しました。リユースパネルの売買についてはまだ詳細なマニュアルがないため、手を出しにくい人も多いかもしれません。しかし、地球環境への負荷・最終処分場の容量を考えると将来的には積極的に取り入れたい選択肢になっていきそうです。今後、ガイドラインや売買手順がよりクリアになり、太陽光パネルのリユースが増えていくといいですね。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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